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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2428号/09.07.20

今こそ平和憲法を守れ

中北 龍太郎 著  明石書店(定価2200円)

書籍画像 1999年からの日本の政治状況の大きな右旋回によって、憲法をめぐる状況も大きく変わった。登場したのは為政者を中心にした憲法改悪への流れである。この本は、こうした改憲状況、憲法とは何か、9条、20条をめぐる問題を、クロニクル風に論点を整理し、十分な説明を加えながら書きすすめていく、というスタイルの、じつにわかりやすい入門書になっている。これ1冊に改憲派への批判のすべてがこめられている、といっても過言ではない。
  国民にたいする「規範」を求める憲法、つまり「義務のインフレは、人権のリストラをも引き起こ」さざるをえないこと。「憲法によってしぼられるのは国家か個人か」こそ、重要な論点であることを、まず、問いかける。そして、平和憲法の軸の9条をめぐる問題が展開される。
  そのうえで、「憲法の政教分離の内容は先進的で、九条とともに世界に誇れる制度になって」いることを明確に示す。「国が戦死者を抱えこんで管理」し「過去の戦争における特定の記憶に価値を与えることを適して国のための死を賛美」するという靖国のシステムと構造を徹底して批判し、憲法9条と20条の関連と意味づけを、静かに読者に問いかけるものともなっている。  (A)

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