私たちの戦争責任
纐纈 厚 著 凱風社(定価1800円)
盛夏、64年目のヒロシマ・ナガサキがやってくる。「あと何年、被爆者たちが体験を語ることができるのだろうか」との問いは、また8月15日の「敗戦の日」へと繋がっている。
著者はいう。帝国日本のアジア太平洋での侵略戦争・植民地支配の歴史事実と認識は、政府がつねに過去を隠蔽し、「国民」も過去を「忘却」してきたことによって、いまなお、アジア・太平洋の人たちとの歴史認識の共有にはほど遠いと。
天皇の「聖断」で「終戦」したという「聖断論」で戦争責任は曖昧にされた。また「日本は侵略国家ではなかった」の自衛隊幹部「田母神論文」も「侵略」の歴史を「国防」の歴史にすり替えて事実を隠蔽し、侵略戦争を「聖戦」と肯定する。これらは戦前と戦後が連続した「帝国日本の連続と再生」である。
その田母神が8月6日に広島で講演するという。ヒロシマに核武装を説くというのか。かつて昭和天皇には、被爆二世を中心に原爆投下はもとより侵略と加害の「戦争責任」を問う厳しい糾弾の行動が起きた。
戦後の今日、繰り返される靖国参拝と侵略否定論。そこに学まれた危険な兆候を察し、誤った歴史を繰り返さないための運動や思想を逞しくすることが戦後責任である。(MT)
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