八〇万本の木を植えた話
イ・ミエ 著 合同出版(定価1400円)
中国・内モンゴルにあるモウソ砂漠の砂嵐。「黄砂の震源地」といわれている。
そのモウソ砂漠のただなかで20年かけて、年に350ミリしか雨が降らない深刻な水不足と闘い、ときに絶望しながらも、80万本の木を植えたイン・ウィチョンという実在の女性の話が、大人にも子どもにも読める本になった。挿絵が愛らしい。
モウソ砂漠のど真ん中に住む息子が可哀想だという知り合いを憐れみ、父親が勝手に「結婚」を約束し、顔も見たことのない男性と結婚し、砂を掘ってたまり水を飲料水にする暮らしを強いられた少女、ウィチョン(女性の尊厳を阻む慣習は世界中に存在している)。
「どうせ抜け出すことができない運命なら、この砂漠をいきていける土地にしてしまおう」。少女は、最初20キロ離れた村で手間賃のかわりにドロヤナギの苗木を30本もらい、そこから、砂漠の生態系を探りつづける。砂漠でも育つ木の発見、水脈のありか、木が生えたところに草の種をまくこと。「子どもたちをこの砂漠には閉じこめておかない」という一念で、砂漠化する地球と敢然と闘った女性だ。村と村がつながる林道の写真が後書きにそえられている。胸がズンときた。 (汝)
「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)