ピカソ「ピカソ講義」
岡本 太郎・宗 左近 著 ちくま学芸文庫(定価900円)
「芸術は爆発だ」の名セリフで有名な芸術家といえば、故人の岡本太郎(1911~96)。大阪市・万博記念公園にある「太陽の塔」が、代表作だ。その岡本に影響を与えた人物こそ、表題の画家ピカソ。
フランスのパリで美術家をめざしはじめていた青年期の岡本。その岡本に抽象画の道を歩ませるきっかけを与えたのが、ピカソの作品との出会いだ。岡本にとっては自己発見そのものとなった。
ピカソといえば、抽象画の巨匠として、おなじみ。スペイン内戦時にドイツ空軍がスペインの都市を空爆した。その惨状を描いた大作「ゲルニカ」(1937年作)は、代表作として知られる。
「(抽象画家として)絶望的な日本で闘う」ことを決意した岡本は、帰国する。独白の美を追求する一方、縄文時代の文化を復権させたり、沖縄の文化を再評価するなど、その功績は大きい。「牛乳瓶のお化け」とまで酷評された「太陽の塔」も、今では大阪のシンボルとして、すっかり定着した。
故人となった岡本を知るには、作品と著書に頼るところが大きいが、この本1冊にしても、今なお熱い思いが伝わってくる。そのパワーには、おそれいるばかりだ。 (土)
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