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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2426号/09.07.06
 「世界に愛と平和を」と短冊に願いを書くと聞きとげてくれる、というのが七夕。織女と牽牛の1年に一度の逢瀬が7月7日だ。これにちなんだのが七夕祭り。地域によっては旧暦風に1か月遅れの8月7日におこなうところもある
▼有名なのが8月6~8日の仙台七夕祭り。「華やかさとともにレトロな雰囲気も演出」するのが、京の友禅千代紙、江戸千代紙を使い、美しさをきわだたせる1500本の竹の七夕飾り
▼仙台の8月の七夕を最後の場面にもってきたのが、直木賞作家、熊谷達也の小説『七夕しぐれ』。文庫本の帯には「「友情」「正義」「苦悩」……少年たちの無垢な姿と成長をノスタルジックに描いた傑作!」とある
▼1969年4月から8月、ちょうど「同和対策事業特別措置法」が施行されはじめる頃が時代背景。仙台の部落を舞台に小学校5年生の2人の級友への部落差別を許さない少年の姿を描く、さわやかな青春小説。解説で作家のあさのあつこは、「この物語は人間の物語だ。だから、/人間を変えることができる」と結んでいる
▼直木賞作家の朱川湊人が小説で描く被差別民の世界は知っていたが、東北を舞台にしたこんな小説があったことは知らなかった
▼この間、部落問題を軸とした民俗学、芸能論、歴史の書物が一挙に出ている。まるで部落学ルネッサンスのように。これはいいことだ。しかし、問題はこれを受け取る主体が弱っていないかどうかだ。

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