最近、洗濯用の洗剤を変えたわけでもないのに、なぜだろう。というのは、本紙コラム10月26日号で「漂泊の民」が「漂白の民」になっているからだ。まさか漂白剤を使ったわけでもあるまいし、と変換ミスを恥じているしだい
▼原稿用紙のマス目を埋める、という作業をしている人は少なくなった。だから、近頃は原稿を書くではなく、原稿を打つという。そこで発生するのが、こうしたワープロ機能での変換ミス。コマーシャルをつくるコピーライターはこの変換ミスを利用して、さまざまなコピーをつくる。だが私たちの場合は、そうはいかない
▼あるとき声明文で「濡れ手に粟」という表現が使われた。ところがそれが印刷されてきたら「濡れ手に泡」となっていて、関係者を慌てさせたことがあった。粟などというものを見たこともない、あるいは聞いたこともない若者が打ったのだから、こんなことがおきる
▼もっとも、手書きの時代だったら、粟と栗を間違う、ということがおきたかもしれない。瓜と爪は違うが、「ウリにツメあり、ツメにツメなし」と覚えたという。かくのごとく漢字は難しい。だけど、いやな感じ、とはいえない
▼臨時国会がはじまり、与野党の論戦が開始された。国民目線の鳩山連立政権が活躍するが、この政権へと変換させたのは私たち。変換ミスがないように、つねに目を見張り、チェックし、政策を提言しつづけることを忘れてはならない。