米大リーグのワールドシリーズでヤンキースが優勝した。松井秀喜選手がシリーズ６戦を指名代打で６割１分５厘という驚異的な打率でチームを９年ぶりの優勝に導いた。35歳で初のMVP（最優秀選手）に輝いた
▼松井選手にとっては大リーグ７年冒目。大リーグに入ったものの、ここ数年、ケガに悩まされた。06年には左手首骨折、07年は右ひざ、08年は左ひざを手術した。だから今回も守備はできず指名代打での出場となった
▼ケガに泣かされたなかで闘魂を奮い立たせながら練習に励む姿が目に浮かぶ。長嶋茂雄元巨人軍監督の教えが「素振りにこそ打撃のすべてが凝縮されている」との言葉だ。一心に素振りをくり返す松井選手の姿が目に浮かぶ。努力あってのMVPなのだ
▼自民党が政権を握っていた時代に隠し続けてきた数字がある。それを長妻厚労相が明らかにした。15.7％。これは日本の相対的貧困率だ。国民１人ひとりの所得の真ん中の額の半分に満たない人の割合を示す。つまり、８人に１人は貧困状能だ陥っているということだ。すでに３人に１人が非正規雇用の状能におかれている
▼「はたらけど／はたらけど　猶わが生活楽にならざり／ちっと手を見る」とは石川啄木の詠んだ歌。医療、年金、雇用保険という社会的セイフティーネットも断ち切られ、いくら努力を重ねても貧困状態から抜け出せないという現状を、みんなで変えていかねばならない。