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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2445号/09.11.23
 長野県の山中で宮下太吉が爆裂弾の実験をおこなったのが100年前の11月。天皇暗殺計画のためだった。しかし、翌年、この事実をもとに、すべての社会主義者、アナーキストへの取り調べや家宅捜索がおこなわれた。政治的なでっち上げにもとづく大弾圧で数百人が逮捕された。結果、26人が起訴され、うち12人に死刑が執行された。これが大逆事件だ
▼この事件で新宮グループとよばれ起訴された人に、部落と深いかかわりを持つ僧侶、高木顕明がいる。顕明は死刑判決の翌日、天皇の恩赦で無期刑となったが、獄中で自殺した。真宗大谷派は顕明を処分。20世紀末にようやく名誉回復をはかった
▼実業家となった顕明の孫に話を聞いたことがある。いまだに天皇が近くに来ると公安警察が尾行に着くという。一体これは何か、と驚いた
▼「いまの日本人は無関心。とくに若者は」「本当の関心を持っている人は少ない」とはイスラエルの大学で教える日本文化研究者の発言。「天皇制が消えてしまう危険があります」と心配する。そして「いちばんいい役割は、環境問題、環境保護の象徴となること」とも進言する
▼事実、11月12日の天皇即位20年の記念式典は盛り上がらなかった。国民の無関心から、この日を休日にもできなかった。だが、部落と対極の関係にある天皇制を無化するには、その構造、歴史的文脈などを対象化、意識化することからはじめなければならないのだ。

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