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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2447号/09.12.07
 「徹底した史料収集と現地取材に基づいて、歴史の中の人間像を緻密な描写で再現し、真実とはどのようなものであるかを表し続けてきた」とは、作家、吉村昭の歴史小説集成を出版する書店の宣伝文旬。たしかに吉村の小説はすごい。桜田門外の変のときの同士討ち、警護にあたり切腹を逃れるために寺に逃げ込んだ侍の話、その日雪が降ったのはいつか、などディテールにこだわりながら人間を描く
▼吉村は同時にエッセイストでもあった。エッセイに『蟹の綻ばい』があることを知ったのは、つい最近だ。時には、いつものような蟹の横ばいでなく、違うことをしたい、という願望をあらわす
▼ごく最近、沖縄市でヒメシオマネキという蟹を見た。口に入れた砂を腔内濾過して餌をとることで干拓地の環境を守る存在だ。この蟹、穴から出てきて水辺へ集団で移動するのだが、どう見ても縦ばいだった
▼新政権がシンボルの一つとしたのが、この干拓地をつぶす公共事業へのストップ
▼沖縄県民は普天間基地の辺野古への移設に大きくノーの声を上げている。1月末にも東京で大集会が予定されている。当然のことだ。この闘いは沖縄だけのものではない。すべての人びとに投げかけられた課題だ。辺野古移転阻止の闘いは反戦・反基地だけでなく、同時に環境を守るとりくみでもある
▼新政権は旧来のような蟹の横ばいでなく、縦ばいをこそ実現してほしい、マニフェストにそって。

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