つないで、手と心と思い

原案　本多　真紀子　　絵　佐谷　洋子　　アットワークス（定価900円）

　「朝鮮人は日本から出て行け」「朝鮮学校をたたきだせ」「キムチくさい」。差別排外主義を煽動するネット右翼・「在日特権を許さない市民の会（在特会）」が京都の朝鮮第１初級学校を攻撃した。大音量で聞くにたえない差別言葉で、校内の小さな子どもたちを罵倒・脅迫するという許しがたい事態が、いまの日本社会で聞歩している。
　 「朝鮮人だったら、なぜ攻撃されるのか、民族教育がなぜ許されないのか」。見て見ぬふりではなく、民族差別・外国人排斥が公然化している日本社会の現実と向き合わなくては、この先、また後戻りできない時代へと突きすすむことになる。
　 今年は折りしも「韓国強制併合」100年。この本は、「在日韓国人三世の少年が祖父（ハラボジ）からの聞きとりから知る日本による朝鮮半島の植民地支配と在日コリアン家族の歴史であり、植民地支配の清算と戦後補償、差別なく平和に暮らしていける社会を願う」物語絵本であり、在日の100年史でもある。
　 まだ遅くはない、「ともに生きていくんだ」というこの本を、とくに歴史を知らない若い世代にすすめたい。私たちは、けっして朝鮮学校への攻撃を許してはならない。多民族共生社会をつくるために。（MT）