教育再定義への試み
鶴見 俊輔 著 岩波書店(定価900円)
教育とは何かという問いは、人間とは何かという問いにつながる。
いにしえより人びとはその問いに答えを出そうとしてきた。
本書は、「自らの77年の人生を真摯に振り返りつつ、教育が本来もつ深い意味を鮮やかに示」すことで、教育への再定義をこころみている。
著者は、「人は生まれてから老いて死ぬまで、多くの人々と関わりながら自己教育をつづける。『いかに生きるか』という問いが、その営みをゆたかにする。いまこそ『教育』は、人々が人生の課題に立ち向かうときに支えとなるものとならねばならない」と主張する。
時代を揺るがした少年事件にふれ、「1945~60年にかけて、知識の普及とともに社会全体が進歩していくというのが当時の教師に共通の考え方だった。今も同じ希望を小・中学校の教師はもっているのだろうか?」
教育とは、少年の未来を殺人犯に仕立てていくような人間の関わりがもたらした痛みだとのべている。子どもたちが負った傷に向き合えない現代教育の現実を見つめ、問いかけている。教育は、人間との関わりで成立する。人間との対話をとおして、偏見から解放され、生き方や考え方を形成していくものだ。(T)
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