DV・被害者のなかの殺意
北村 朋子 著 現代書館(定価1700円)
「あなたは保険金目的で夫を殺害したのよ」といいつづける女性検察官の強引な自白強要に根負けし、調書をつくられてしまった。一方、夫からの性的暴力やDVを説明していたにもかかわらず、そのことは調書には書かれず、裁判でも「殴られる前に、あなたのほうからご主人の怒りを買うような発言というのはありませんでしたか」と、DV加害者が暴力を振るうのに理由などない、ということへの無理解のまま推移し、最高裁の上告棄却で08年2月、懲役18年の実刑が確定した。
この事件は、インターネットで知り合った男に、報酬を約束して夫の殺害を依頼した「ネット殺人事件」として大きく報じられた。
この本は、妻との面会や文通を通じて編まれ、検察が作ったストーリーに、マスコミや裁判官がのったことや、妻本人もDVにかんする認識が低く、20年間うけつづけてきたことに気づいていなく、そのため、DVの苦しみから逃れる方法にさえたどりつけなかったことを明らかにしている。
また、取り調べの可視化や証拠開示の必要性も強調し、DVについての知識を、警察、検察、裁判官が、そして裁判員ももたなければならないことを訴えている。 (E)
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