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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2472号/10.06.07

部落に生きる部落と出会う

部落に生きる部落と出会う実行委員会 編  東京都連(定価800円)

書籍画像

 日本の政治も経済も、その中枢を一身に抱え込まされた首都、東京。居住者と通勤・通学の移動者を考慮した「昼間人口」は1500万人もあり、情報や文化の巨大な発信地になっている。歴史的には、住民の生活上の必要からではなく、中央政府の都合―とくに経済発展の国策から形成されてきた大都市であり、基本ラインは上意下達。部落問題についても、残念ながら、解放運動に真摯に応えず、差別事件や差別行政が現代までくりかえされてきた。
 「明治」いらい何度も移転命令を出し、部落を郊外に追いやった行政当局。「特措法」時代にも「地区指定」をせず、部落にたいし、部落差別や部落の実態をあいまいにしたまま、不十分な施策でお茶を濁す動きが重ねられてきた。この差別行政は、今日、「特措法」時代の認識などなかったかのように後退している政府のあいまいな部落問題認識と見事に重なっているようにも思える。
 本書は、都連の同盟員や、ともに闘う人びとの願いや営みを込めた部落問題の教材。最近の代表的な差別事件をとおした被害の実相や課題、東京の部落史も、写真入りで生きいきと紹介されている。東京から未来を拓こうとする意欲作だ。 (K・S)


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