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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2477号/10.07.12

橋はかかる

村崎太郎・栗原美和子 著  ポプラ社(定価1300円)

書籍画像

 「差別を受けた苦しみを知らない人が、それは一体どういうものなのかを知ることができる本なのです。うつ病になってしまうほど苦しみ抜いた人の本音に、触れることができる本。死にたいとまで追いつめられた人の気持ちを、少し理解できるかもしれない本。そんなふうになっているならば、それが彼の本望なのではないでしょうか」
  あとがきに書かれた、共同執筆者であり、連れ合いでもある栗原美和子さんの言葉だ。彼とは、猿まわし芸を復活させ、「現在の日本で、太郎次郎は猿まわし芸の最高峰である。その太郎次郎が、この歴史的にめでたい舞台(阿蘇の猿まわし劇場のメインを取ること-引用者注)の柿(こけら)を落とすのは必然である」と師匠でもあった父親にいわしめた村崎太郎さんである。
  心に傷を負う人たちに「心の扉を開いてみませんか?」と、やさしく語る村崎さんの、人生の軌跡とその転機をつうじ、いまここにある現在、「橋をかけよう」と努力するさまが、行間からひしひしと伝わってくるのが、この本だ。
  「「部落」という醜い怪物は、今やっと「日本人に欠かせない物語」として生まれ変わろうとしている」という言葉を胸に刻みたい。(B)


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