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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2491号/10.10.25

国家論

田原 総一朗/姜 尚中/中島 岳志 著  中公新書ラクレ(定価860円)

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 「富の蓄積」は「貧困の蓄積」を必然的に生み出す。マルクスがいう資本主義の本質は今も変わらない。今日も「戦争と貧困」が拡大する世界。日本も米国の戦争に加担し、貧困の拡大社会へとつきすすむ。
  「僕たちはいま、どこに立っているのか」。世界も日本も大変化のただなかにあるいま、世代を超えた3人の代表的な論者が、戦後日本ではタブーだった「国家のかたち」を正面から大胆に、徹底討論する。
  08年の金融破綻を期に、世界は米国の一極集中から多極化時代を迎え、日本も昨年、政権交代で55年体制が名実ともに終焉、「進路が問われる」という「国家論」を論じることが不可欠の時代を迎えていると提起。論議は▽歴史をみることの大切さ▽必要悪としての国家▽希望のない時代▽国家のかたち▽日本とアジア、とすすみ、「日本の琉球化」という1つの展望を提示する。
  姜は、日米重視―官僚制という戦後日本の「国体」がいま、崩れつつあるという。田原はいう、「国家というものは危険なもの」と。戦争で死ぬことを教えたのも国家、天皇の「ご真影」を焼くようにしたのも国家。危険な潮流があちこちに出てきているからこそ、「いま、国家論を」と、訴える。ぜひ一読を。(MT)


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