ルポ差別と貧困の外国人労働者
安田 浩一 著 光文社新書(定価860円)
「これが「国際貢献と技術移転」の現実だ。国家ぐるみで推進される二十一世紀の人身売買である」。著者が厳しく告発しているのは、「研修制度」の名を借りた労働制度のことだ。
「【基本給】月5~6万円。【残業時給】300円。【現金支給】月15000円」。「給与を強制的に貯金させ、しかも通帳、印鑑、キャッシュカード、パスポートを研修生の手から取り上げている」。こんな実態から米国務省が発表している「世界の人身売買の実能に関する報告書」では、「一部の外国人労働者は強制労働の状況にある」と指摘し、研修制度が「人身売買の一形態」との認識まで示している。
日本の農業、縫製などの不況業種では、人件費削減を迫られる一万、人材不足に悩まされ、これを解決する抜け道として、外国人を利用した研修制度に依存。実態は労働そのものだが、研修生は労働者として認められてないため、労働基準法の適用外に置かれ、過酷な労働をしいられているケースが多くある。「08年には、三十三名の研修生・実習生が日本で命をおとしている」。驚くべき数字ではないか。第2部では「日系ブラジル人、移民たちの闘い」も紹介している。 (土)
「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)