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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2494号/10.11.15

激変! 日本古代史

足立 倫行 著  朝日新聞出版(定価700円)

書籍画像

 友人・知人に古代史マニアがたくさんいる。話を聞いても、どうもよくわからない。古代史の世界はなんでもありか、と思うほど1人ひとりの話の中身が、同じ対象を語りながら異なる。しかもごていねいなことに、それぞれ、おれの話は、こういう理論と実証で間違いない、とくる。どうしたもんだ、この混乱は。ということで、古代史の論点整理のためにこの本を読んだ。
  邪馬台国所在地論争、古墳時代から大宝律令の成立、という2つの部分で構成されたのが本書。
  こまかい論争よりも、よくわかったのは、3世紀前半から共同体の首長を大がかりに弔う古墳文化が、突如奈良盆地で生まれ、東北の南部から北九州にまでなぜ広がったのか。それが350年間も続いたのはなぜか、ということだ。それは、文字を
使う前の社会だったがゆえに、首長と人民との身分関係を視覚的にわからせるための、心に働きかけることを主目的に作った「美的モニュメント」だったということだ。そして文字ができるや、大化の改新の後、天孫降臨神話を創造し、文字を使った戸籍を通じた人民支配がはじまる。文字がキーワードなのだ。
  なぜ、天子降臨でなく、天孫なのか。こんな謎も解ける本だ。(A)


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