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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2463号/10.03.29
 齢を重ねたなと実感することがある。それは身体や健康面のことだけではない。たとえば「岩波文庫」だ。「岩波新書」は、いまここに生きている現代、同時代をテーマにさまざまな問題を論じることに主眼が置かれている。それにたいし岩波文庫の方は、古典を中心に編んだものだ
▼2月の岩波文庫のラインアップもそうだった。宇野弘蔵の『恐慌論』、ヴェイユの『根をもつこと』、オットーの『聖なるもの』など30年以上前に単行本で読んだ作品。それが古典として文庫入りしたのだ。この間だけでも、そうした作品が多すぎる。ウーといいながら、自分の年を勘定してみた
▼岩波の文庫シリーズに、もう一つ「岩波現代文庫」がある。かつて「同時代ライブラリー」というあらたな判型(DL判とよばれた。文庫判を少し大型にしたもの)で挑戦したが売れず、このシリーズで出されていたものも、現代文庫に引き継がれている。射程はここ数年から30年。古典になり得るものを厳選している
▼狭山再審はいま最大の山場を迎えている。証拠開示勧告を事実調べと結合し再審の門をこじ開けることができるかどうかが問われている
▼このときに市民の会事務局長の鎌田慧さんの『狭山事件』(親本は草思社)が現代文庫で4月に発売される。狭山闘争の新たな歴史のページを私たち一人ひとりが書き込んでいくのだ、という自覚と決意をもって闘いにのぞみ、この書も活用しよう。

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