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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2485号/10.09.13
 民俗学者の柳田国男が注目したのが漂泊と定住だった。柳田の部落形成論では非農業者として長く漂泊し、のちに農村共同体に定着した者が被差別部落民とされたとしている
▼漂泊と定住は、もう一つの側面から見ると、排除と同化をも問うている。差別・迫害による排除と融和化し、溶けこむなら少しは認める、という意味のことだ
▼柳田が部落問題を遠ざけたのは、民俗学でいう感情、観念、宗教をともにする人たちの共同体、つまり常民の発見にあったと教科書は伝える。しかし、事実は異なろう。部落と天皇が通底、密通する関係を発見したというのが本当のところだろう
▼フランスのサルコジ首相、支持率低下が甚だしい。これほどスキャンダルに恵まれた人もいまい
▼逆転のためのスケープゴートということが透けて見えるのが、「不法滞在」のロマのキャンプ破壊とルーマニアやブルガリアへの強制送還。ロマの539か所ある、廃材で作られ不法占拠地が多いキャンプを重機で被壊し、捜索するようすがニュースで流れている
▼ロマがフランスへ来るのは合法。だが、3か月以内に定職にありつけないなら不法というのがEUの法。治安対策を前面に打ち出し、ロマを狙い撃ちする政策に国民の半分は賛成する
▼なぜ、ロマが豊かな国にあこがれ、流れるのか。なぜ非定住者だったロマを国民は認めないのか。ここには、現代の世界がかかえる差別の問題が凝縮して存在している。

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