「戦争と日本人―テロリズムの子どもたちへ」
加藤 陽子 歴史研究者 佐高 信 評論家 角川学芸出版(定価724円)
哲学者・久野収は「状況に支配されるのではなく、状況を支配しようとこころみた政治家は、ほとんど例外なく暗殺にであっている。思想をもった政治家らしい政治家はほとんど襲撃を受けた」と喝破。1921年、時の首相・原敬が19歳の少年に暗殺されたとき、大杉栄は「やったのは子どもなのだね」とつぶやいた。戦後、社会党の浅沼稲次郎を暗殺したのも17歳の少年だった。
この書の、副題は「テロリズムの子どもたちへ」である。子どもたちにテロを推奨しているのではなく、昨年の尖闇問題で、差別・排外主義まるだLに騒いだ子どもたちを憂慮してのもの。したがってこの書は「高校生から読める日本近現代史入門」である。
少年たちが従軍した西南戦争、政治家・思想家を狙った「子ども」によるテロ、戦争と徴兵制そして今日の検察ファッショ、尖闇問題など、「国家と戦争」を軸に歴史研究者とジャーナリストが「歴史の重層的見方、時代に爪を立てる方法」を語り、「柔軟な非戦の思想を、日本人の経験にさぐる」。佐高は、大岡昇平の「戦争を知らない人間は半分は子どもである」の言葉から、大人になる
ためには、やはり知る必要がある、と力説する。 (MT)
「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)