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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2520号/11.05.30

日本語教室

井上ひさし著  新潮新書(定価680円)

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 十数年前から顕著になっている日本人の言葉の乱れにたいし、筆者はいう。言葉は世の中を映しとるものであり、それが乱れているということは日本人全体が本当に大事なものが何かということを見失っているからだと。
  本書は「日本語とはどういう言語か」をテーマに作者の母校・上智大学で4回にわたった講演を収録したもの。日本語をなに不自由なく使っていると思っているわれわれが、どうして日本語をもう一度勉強し直すのか。その理由を時代や国際化とと もに歪んでしまった日本語に焦点を置き考える。
  現日本語の根源として筆者は10以上の文語をあげている。しかし言葉は絶対的な多数決で構成されているもので社会的、経済的、政治的圧迫によって変形し消滅する。例として、少数民族などマイノリティの言語などがあげられ、強制的に使うことを禁止されたことで使う人間がいなくなればその言葉も消えてしまう。また、同時にその言語に託された人間の精神そのものも同じ人間の手によって抹消されてしまうのである。
  英語が世界語化しているいま、言語が持つ精神は私たち日本人の価値観もいびつにねじ曲げてはいないだろうか。     (伊)


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