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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2538号/11.10.10

ルポ 下北拡半島 原発と基地と人々

鎌田 慧・齋藤 光政 著  岩波書店(定価1900円)

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 3.11東日本大震災は、この社会がはらむさまざまな問題をあぶり出した。それは、先送りしてきた諸課題であり、いわば国民国家としての破綻を示すものだった。原発の「絶対安全神話」のもとでの、人間と自然の関係を無視した、しゃにむの建設・稼働もそうだった。
  「(青森県の)下北半島の核半島化は、公式的には、一九六九年三月、通産省の外郭団体「日本工業立地センター」の調査報告書からはじまっている」と鎌田は書き、「それからキリンのように長い首をもつ下北半島の一本道を、上がったり下ったりするようになった」。長期にわたる国家による下北半島の核半島化政策・攻撃の過程と、それに反対する人びとを描いたのが、この書だ。
  「(この本は)フクシマの半年前に連載(雑誌『世界』)が終了しています。それでもパンチが全然なかった…(さまざまな原発の事故が続いても)反対運動は大衆的なうねりをつくれなかった」(『現代思想』10月号)が、いまやこの書には、あらたな力が吹き込まれた。国、自治体、電力会社による札束攻撃による懐柔、買収に抗して、静かな拒絶の闘いにとりくむ人びとの列伝、そして人びとと運動をつなぐ新たな連帯を求めるマニフェストとして。(A)


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