pagetop
部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2540号/11.10.24

東電の核惨事

天笠 啓祐 著  緑風版(定価1600円)

書籍画像

 「ただちに健康に影響はない」と事故直後からいいつづけてきたのはこの国の政府。
  福島第1原発の4基の原発はメルトダウンや爆発をおこし、放射性物質が大気中や海洋へとたれ流され、その量は4月時点で広島におとされた原爆換算で80発分(小出裕幸)といわれ、いまも放出されつづけている。
  政府と東京電力は、事故の収束への工程表は作成したものの、収束へのメドさえたっていないのが現状だ。
  著者の天笠は、「遺伝子組み換え食品」「脳死」「電磁波」「食品汚染」などの著作が多数あるだけに、食と農への影響にも、かなりの部分をさいている。
  また、原発の被曝労働などの差別構造も指摘し、アメリカのスリーマイル原発事故、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と、事故のたびに被曝許層線量がひきあげられてきた歴史もたどる。さらに、電力会社による事故隠し、データ改ざん・捏造や不正にもふれ、今回の事故はおきるべくしておきたものであることを、明らかにしている。新型転換炉「ふげん」、高速増殖炉「もんじゅ」をめぐり、技術者の間では、「普賢と文殊のあとはお釈迦だよ」とささやかれていたことも。    (巨)


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)