東電の核惨事
天笠 啓祐 著 緑風版(定価1600円)
「ただちに健康に影響はない」と事故直後からいいつづけてきたのはこの国の政府。
福島第1原発の4基の原発はメルトダウンや爆発をおこし、放射性物質が大気中や海洋へとたれ流され、その量は4月時点で広島におとされた原爆換算で80発分(小出裕幸)といわれ、いまも放出されつづけている。
政府と東京電力は、事故の収束への工程表は作成したものの、収束へのメドさえたっていないのが現状だ。
著者の天笠は、「遺伝子組み換え食品」「脳死」「電磁波」「食品汚染」などの著作が多数あるだけに、食と農への影響にも、かなりの部分をさいている。
また、原発の被曝労働などの差別構造も指摘し、アメリカのスリーマイル原発事故、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と、事故のたびに被曝許層線量がひきあげられてきた歴史もたどる。さらに、電力会社による事故隠し、データ改ざん・捏造や不正にもふれ、今回の事故はおきるべくしておきたものであることを、明らかにしている。新型転換炉「ふげん」、高速増殖炉「もんじゅ」をめぐり、技術者の間では、「普賢と文殊のあとはお釈迦だよ」とささやかれていたことも。 (巨)
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