沖縄 アリは象に挑む
由比 晶子 著 七つ森書館(定価1800円)
東日本大震災に「トモダチ作戦」名で普天間基地を拠点に作戦を展開した米軍に福島の被災者が「ありがとう」の人文字を描いた。その被災地復興の裏で日本政府は沖縄の民意を踏みにじり世界で一番危険な普天間基地の固定化を画策している。
「沖縄では、福島原発事故の被害を沖縄の基地と重ねて考えないわけにはいかない。最も貧しいところに、危険でまた地球に害を及ぼすもの、最も嫌われているものを、経済振興というアメをつけて押しつける。地元はアメによって潤い、それに依存せざるをえず、将来に負荷がかかり自立が困難になる。その構造は基地も原発も同じなのだ」と著者はいう。
「沖縄の人びとの強さは、国家に対して「正しい被害者」になったこと。国家と共に加害を隠蔽することを拒んだ歴史が、いま、ここに継続してある。そこに日本のこの社会の希望がある」と辛淑玉は推薦する。
いまも続く辺野古新基地建設反対運動。その闘いを志半ばで倒れた金城祐治は「象に刃向かうアリ」といった。そして「それでもわれわれに理がある」と。本書はその闘いの記録である。著者は、沖縄に米軍基地を押しつけ固定化してきた歴史に、「自立を求める沖縄の人びとへの応援歌」として思いを託す。(MT)
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