希望は絶望のど真ん中に
むの たけじ 著 岩波新書(定価700円)
新聞業界で気骨ある人物として知られた、むのたけじが、96歳にして書きおろした一冊。かつて解放新聞社が主催した機関紙学校で講師を務めたことがあり、その懐かしさもあって手にした。
戦後、大手紙の記者をやめてはじめた「週間たいまつ」新聞を1978年に休刊し、胃がん、肺がん、心臓病をわずらった後に、復活宣言をするかのように、この本で熱い思いをほとばしらせた。ジャーナリストの先達から若い世代へのメッセージをこめたためだろう。
むのは中学生と対話する姿を「八〇の年齢差を越えて、同じまなざしの輝き」と新聞の見出しに表現されたことを栢介しながら、「今の若者たちが新日本人と言いたくなる素質と能力を身につけた」と高く評価。その未来に「戦争のない世を願い」という希望をたくす思いを披露する。
その一方、「今見る日本のていたらくは、今はじまったことではない」と、手厳しく、半生を振り返りながら、その眼差しを自分白身にも向けている。かっこつけることなく「赤面する自己反省」をさらけだし、「それを打ち明けて、今の若い人々に参考として提示します」としたあたりが、この本の魅力だろうか。
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