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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2545号/11.11.28

ニッポンの国境

西牟田 靖 著  光文社新書(定価760円)

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 先日ひらかれたAPEC首脳会議で野田首相と会談したロシアのメドページェフ大統領は、互いに相手国を尊重した姿勢で解決へと握手を交わす一方で「政治より経済が先を行く」と「領土問題の解決」よりも経済協力の進展を優先する考えを鮮明にした。尖闇諸島問題では日本政府側の対応と相まって中国漁船が日本海沖を横行するニュースを頻繁に耳にするようになった。
  近頃身近になるつつある「領土問題」にたいして、これはなぜおこり現在もくすぶりを続けるのかを、著者みずから「政治的秘境」とよぶ北方領土や竹島に足を運び、島民の声などなかなか見えてこない現地の実情にスポットをあて考察している。
  資本や文化が国境をこえていくなかで国民国家は揺らぎ互いの乗離がすすんだ。あとがさで著者は北方領土問題の解決をこう語っている。「日露の新旧島民、そしてアイヌ民族がともに暮らし、ときには一緒に語らったり、酒を酌み交わしたり。興が乗って、輪になって踊ったりすることだってあるかもしれない。そのように両国民が島で集えるような状況になれば、領土問題の外交上重要性は減少し、ナショナリズムによって外交に差し障りがあるような状況が減少するのではないか」と。(伊)


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