「災害はそれに見舞われた社会の断面を一瞬にして浮上させる」とは、『世界』誌の巨大複合災害に思うと題した文章冒頭に掲げられた内橋克人の言葉だ
▼文章では原発の問題が指摘される。私たちは原発は徹頭徹尾差別をうみだし再生産するものとして反対してきた。つまり原料のウランが発見される場所は先住民の居住地で、彼らは追い出される。しかし、採掘作業では先住民やマイノリティが被曝の危険があるところで働かされる
▼原発の立地に選ばれるのは少数民族やマイノリティの住むところ。西日本では10キロ圏内に部落を含んでいる。あるいは疲弊する地方の窮地
▼原発労働で被曝の危険があるところには、協力会社の名のもとに多大などンハネを受けた下請労働者が従事させられる。もっとも被曝するプール内の作業は第3世界の労働者がおこなう。こうして被曝した労働者は50万人に達する
▼いったん事故が起こると、その周辺に住んでいた住民への差別がはじまる。フクシマでもはじまっている
▼原発を受け入れてきた日本の歴史の帰結がこの事故だから「社会全体で受けとめなければならない」というのが、A紙の大震災直後の解説記事
▼これはまるで、戦争にたいする一億総懺悔論と同じではないか。基本的な権利である人権を脇に置き、原発エネルギー政策を反対派を力で押しつぶしながらしゃにむにすすめてきたのはだれなのか。問われるべきはそこではないのか。
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