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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2521号/11.06.06
 中国江南省で政府機関の建物3か所が爆破された。原因は、道路拡張・建設にともなう強制立ち退きに2度もあわされ、そのあげく補償が十分でなかったことへの抗議。2人が死亡、6人が負傷した
▼そういえば中国へ行ったときに、万里の長城まで高速道路が適っていたので聞いたことがある。「立ち退きなどで大変だったでしょう」「いいえ、すべての土地は国家のもの。だからみんなすぐに立ち退かせます」
▼なるほど、理屈はそうかも知れない。だが、そこに住み、暮らしている人びとにとって移転は、まして狭いところへや補償が十分でないならつらいもの
▼爆破した人も「よほど追いつめられたのだろう」と幼い頃から知る住民は語っている。一度目は60万元かけて移転先の住居を改装、二度目は優先的に移転先の土地を渡すという約束は守られず、補償金も27万元だけ。しかも地元政府幹部は成功報酬として賄賂をとっていたという
▼公共の利益の名のもとに、空港や発電所、原発を作るときに、日本でも政府は反対運動を押しつぶそうとしてきた。そこに国家の持つ幻想性ということの本質の一つがある
▼不屈の闘いもあるが、大多数の反対運動は国家による弾圧のなかで圧殺されてきた。反原発運動が訴え続けてきた、原発事故の危険性が東日本大震災のなかで可視化された。これを契機に、国家に依存しない、新たなエネルギー策が登場することが期待されているのだが。

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