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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2524号/11.06.27
 すわ、天下のNHKが企業の宣伝にのりだした、と世間を騒がせ、抗議を受けたのが2000年からはじまった「プロジェクトⅩ-挑戦者たち」。バブルが終わり、失われた10年が喧伝された時期だった。みずからに自信を失いかけた日本人に誇りを回復させる、というのがコンセプトだった
▼そのため、高度経済成長時代の重厚長大という産業でのプロジェクト成功譚が中心を占めた。しかも、開発成功に向けて男が力を合わせ、女がバックアップする、という中身が圧倒的だった
▼またまた企業の実名をあげ、宣伝するかのように放送し続けているのが「仕事ハッケン伝」。コンビニ、宅配業界にタレントが一週間入って活躍する様を見た。どこまでがやらせなのかは分からないが、タレントの努力、描かれた企業の原点=理念、つねに顧客へのサービスを徹底する、という点はよく理解できた
▼日本はもの作りももうダメだが、サービス業のもつノウハウや姿勢は世界に誇れる、というコメントが頭に残った。グローバルな展開をめざす企業が放送の中心だ
▼来年迎えるのが全水創立90年。だが、いまだ解放ならずが現状。「水平社、部落解放同盟を支えた人々の精神が風化すること、そのことを私は憂えています」とは宮崎学の言葉
▼部落解放=人間解放、人類社会最高の完成をめざし突進す、という原点を忘れ、復権させることができないなら、そこには風が吹いているだけだ。

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