「ベトナム新幹線の中国による建設?!」「そう考えるのが自然だろう」「そ、そんなことが許されるというのですか?!　そもそも中国新幹線は
JR東京のE2型車両を、川口重工から輸入して、それをベースに製造されたものではありませんか?!」「しかも、技術開示までさせておいて、な」「しかし、あの国はそういう国だ！」　
▼これは劇画「ゴルゴ13」最新号の話。日本が豊かな国でありつづけるために、世界に誇れる新幹線技術の輸出で中国に負けるわけにいかない、という国益第一主義の外交官と中国側との暗闘を描くものだ
▼この中国新幹線、中国共産党創立90周年にあわせ、北京、上海間を走らせた。だが同様の高速鉄道で停止していた車両に後続車両が衝突し、死傷者を多数出すという事故を起こした
▼雷による機器のトラブルと記者発表したが、原因は不明。国威がかかった新幹線での事故だけに真相が究明されるかどうかは不明。露骨な事故車両隠し、報道管制が敷かれている。国民を統合するための国威というナショナリズムを傷つけるわけにはいかない、という力が働いている
▼ノルウェーでは同一犯による首都での爆破と銃撃テロがおこなわれ100人近い人びとが犠牲になった。犯人は、イスラム移民の排斥をとなえている
▼ここでは排除というナショナリズムが登場している。２世紀以上にわたり、ナショナリズムという怪物は、まだまだ抜崖しているのだ。