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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2533号/11.09.05
 何億円の損を被ろうと、この時期に決断しないと会社が危ない、上場にも支障が出る。こうした判断でおこなわれたのが吉本による稼ぎ頭のタレントの切り捨て。当のタレントは引退した
▼この時期にというのは理由がある。一つは10月に沖縄、東京で暴力団排除条例が施行され、全国で足並みがそろうからだ。条例では暴力団関係者との会食、ゴルフ、旅行などの交際をくり返すことが「密接交際者」とされ、入札、金融機関からの融資・当座開設、住宅の賃貸契約からの排除などができる
▼くだんのタレントは友人のAさんを通じて、B暴力団組長とメールのやりとりなどをしていたと弁明した。だが友人AさんはBの組の相談役。ここでもうアウトなのだ、条例の規定では。吉本はコンプライアンス重視を謳い、芸能界へも示しをつけたことになる
▼二つ目は秋の番阻改編期をにらんだ措置だったということ。テレビなどのメディアに最小限の損害で済まそうという意図だ。吉本は上場し買収騒動を契機に創業者とのお家騒動を治めた。ダメージを受けずに再上場をめざすタイミングが、これで計れた
▼スケープゴートとは共同体を守るための生け贅のこと。この場合の共同体とは、会社、芸能界
▼暴力団排除の本質は、交際しないことだけではない。彼らを生みだし、利用するという、この社会のシステムそのものを変えることだ。まして暴力団以上の悪がはびこっているのが現状だ。

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