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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2534号/11.09.12
 「こうするよりしかたありません さようなら 私はお墓にひなんします ごめんなさい」。こんな遺書を残して、93歳の福島県の女性が、住みなれた自宅で自死した。「毎日原発のことばかりでいきたここちしません」「老人は(避難の)あLでまといになる」とも記していた
▼震災によって家、仕事、近親者を失い、将来への不安から、「もう限界」「原発さえなければ」などの遺書を残し、自死する人が増加している
▼被災地にある高齢者福祉施設入居者の死亡率が異常に高いことを阪神共同福祉会の中村大蔵が指摘している。同じことが阪神淡路大震災の時にも起こった。みずからが運営する特蓑では定員50人中、震災後から翌年4月の間に17人もの入居者が死亡したという
▼「被災地で起こっていることは、人との関わりを断絶された結果の死であ」り、「常日頃の人手(金)をできるだけかけないことを旨とする、我が社会の介護状況の反映でもある」と中村は指摘する
▼高齢者介護の現場では、絶えざる人との関わりが、高齢者の生きる意欲を掻き立てる、ともいう
▼人はいずれ死ぬもの。だからといって、高齢者の死に無頓着であっていいはずはない。震災による自死者の増加、高齢者施設での死者の増加という現実は、私たちの、いまここにあるあり方を鋭く問うているのではないか
▼人生の先輩の高齢者によりそい、ともに生を拡充することも解放運動の課題の一つではないか。

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