新年の商業新聞各紙を眺めた。いわゆる5大紙のなかで脱原発を明確にしているとされる2紙の1面トップ記事は原発に関連したものだった。A紙は原子力安全委員会の24人が8500万円の寄付を関連企業から受けていた、というもの。M紙は使用済み核燃料の直接処分コスト(こちらの方が再処理よりも4分の1以下ですむ)を隠していた、というものだった
▼なるほどのスクープだが、なぜ元旦一まで「隠蔽」していたのか、ということの方が気にかかった。人びとの原発への怒りをそらそうとするこの時期に、という懸念はぬぐえない。率直にいって、わかった時点ですぐ出すべきだった
▼S紙ではあいかわらず日本的なるもの、今回は剛毅さ、克己、礼節が礼賛される。それも原発事故で被曝の危険があるなかで復旧に命を賭して働く協力企業という名の下請け企業の社員を英雄にしてである。国家のための死の礼賛である
▼Y紙は原発容認の野田政権を、他の政策とともに大賛美。トップ記事では中国敵視政策を正当化している。N紙は日本株式会社の広報紙として経団連会長のインタビューを掲載し、震災復興の名での規制緩和を力説させている。特集では14の日本を考える項目を各1ページを使い解説し、力の入ったところを見せている
▼どのような立場から、何をどう見、考え、知らせ、行動をよびかけるのか
▼本紙の役割が小さくないことを実感した各紙の構成だった。
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