この先どうなるか憂慮（ユーロ）します。なんてしゃれている場合でないのかもしれない。米国の格付け会社がユーロ圏9か国の国債を一斉に格下げした。たとえば、フランス国債の格下げによって、この国債をもつフランスの銀行の財務体質が悪化することは必至
▼問題はそれだけですまない。フランスの銀行に債権をもつ米の銀行が、今度は苦しくなる。ユーロが円にたいして売られ続け、円高が進行する。げんに、11年ぶりにユーロ安がはじまりつつある。日本企業にとっては欧米への輸出が苦しくなる
▼欧州は一つというスローガンのもと、国家をのりこえる通貨としてユーロが作られたが、現実にある欧州内の格差を本来的に無視したうえでのものだけに、破綻は最初から見えていた、というべきか
▼資本や情報や人やモノは、容易に国家をのりこえるが、国家は国家を乗り越えることができていないのが現実だ
▼内閣改造をおこない、消費増税を含む社会保障と税の一体改革なるものを「先送りすることのできない日本再生のための課題」に突きすすむ野田政権。いまや「政権を継続すること」が最大の目標になっている
▼イタリアで豪華客船が座礁。船員による避難誘導もなく、暗闇のなかで悲鳴をあげながら逃げ惑う姿がニュースで映し出された
▼いずこも明日が見えぬのは同じ。いつかは傾く客船の上の乗客である私たちがいま舵を握らねばならない、沈没せぬように。