「発達障害について「乳幼児期の愛着形成の不足」が要因と指摘し、虐待や引きこもり、不登校と関連付けた上、「伝統的子育て」によって障害が予防できると言及していた」「家庭教育支援条例案」が白紙撒回された
▼これは橋下徹・大阪市長が代表を務める大阪維新の会が制定をめざしていたもの。保護者団体からは、「発達障害は先天的脳機能障害。条例案は学術的根拠がなく非科学的」「発達障害への偏見を増幅しかねない」など、当然にも抗議の声が出ていた
▼この条例案には、保護者を対象に１日保育士・幼稚園教諭体験の義務づけや保護者対象の家庭用道徳副読本を子どもがいる家庭に配布、などといった項目も含まれていた
▼条例案のバックボーンにある、親になるための学びが必要、子どもたちには伝統的子育ての推進が必要、というのは安倍晋三元首相が推進する教育再生会議で一貫して主張されてきた中身。子育てや教育の問題を親に押しつけたうえで、保守回帰をはかろうとする主張だ
▼必要なのは制度設計、悩みを共有しながらの親との協働作業なのではないか。条例案はあまりにも人権感覚がなさすぎる
▼人権博物館（リバティおおさか）への補助金を打ち切る、というのが橋下大阪市長の方針
▼「（今回の条例案への保護者の）意見は大事にしないといけない」として撒回した経緯をみると、人権感覚を磨くためにも、この博物館の存続は重要なはずだ。