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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2582号/12.08.27
 『部落解放』誌で労働問題を追ってきたジャーナリストの竹信三恵子は、自著『ルポ賃金差別』にふれて、こう語っている。賃金差別という書名がよくない、せめて賃金格差なら、と敬遠されている現状をのべたあと、「「差別」は「格差」にすりかえられ、「差別」という言葉は消され、放置された差別は、静かに増殖を続ける」と。さらに続けて、「差別は最強で最悪の賃下げ装置なのだ」とも
▼では、同一労働同一賃金の物差しとは。竹信は欧米の例を引き、スキルの高低、責任の軽重、負担の軽重、労働環境の過酷さの4点をあげる。なるほど、これをスケールにすれば目安はつけられる
▼働く人びとに正当な評価をすることが、働く場の元気につながるとは竹信の言葉。だが人びとは、賃金差別以外にも多くの差別があることを知っている。だが、新自由主義のもとでは、あなたが努力しないからだ、と切り捨てられる。いくら努力しても、一部のエリートを作るための教育体制のありようを知ってしまう
▼努力の向こうの未来に、人びとは希望をもてなくなっている。閉塞感が漂う社会が形成されている
▼韓国、中国が領有を主張する島への上陸という形を利用し、ナショナリズムが煽られている
▼閉塞された社会ではナショナリズムは威力をもつ。冷静に差別排外主義はダメだと主張しよう。領有権主張の背景にある国民国家、近代をもっと掘り下げて考えぬくことが重要なのだ。

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