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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2587号/12.10.01
 ある書店で聞く宣伝文旬。本を捨てる前に考えて、捨てようとしている本が、誰かの役に立つなら、ほしいと思っている人の手に入るなら、「それって、とってもすてきなことだと思わないですか」とささやく。なかなかうまい文章だ
▼書物にはいろんな人たちの思いがつまっている。書いた人、編集した人、装丁した人、校正した人、印刷した人、製本した人、そしてなによりも手にとって読んだ人
▼そうした本を手もとに置くことが蔵書であり、よかったと思い何度でも読み返すものを愛読書や古典といった。過去形であらわすのは、そうしたものがいま、少なくなってきたからだ。だから先の宣伝文旬の書店に当然のように売られる
▼この書店、いわゆる良書・古典を探そうとすると、墓場で生者を探すほど苦労する。さほどに、いまだけの、バブルのような本が多くなった。古典は、昔のものでも、いまのものでも、時代を継いで読まれるのだ
▼こうした古典に出会うとうれしい。本をめくると、思考を重ねた人、筆者の息づかいが伝わってくる
▼黒船というのは眠れる日本を起こした。外から時代を変えたことの象徴
▼読書も器機でというのが黒船による傾向だが、器機ばかりが先行し肝心のソフトが充実しない。器はあるが中身がない。だから日本ではまだまだ売れない
▼中身を作りあげていくこと。このことの重要さは読書器機だけではない、ということを肝に命じておきたいものだ。

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