3本の矢といえば毛利元就の話として有名。子どもたちをよびよせ、１本の矢なら簡単に折られるが、３本の矢なら折ることは無理だ。３人の兄弟が力を合わせば３本の矢となれる。兄弟力を合わせよ、そうすればお家安泰と説いたという
▼いま、この３本の矢が大流行。だがそれは毛利の話ではない。安倍首相による打ち上げ花火の「３本の矢」だ。世に流行る「アベノミクス」から出てきた。アべノミクスとは安倍首相と経済をあらわすエコノミクスをミックスした造語
▼じつは第１次安倍内閣ができた06年もアベノミクスという言葉が使われた。規制緩和と企業減税で景気回復と財政再建をと目論んだが結果はご存じのとおり、借金を増やしただけだった
▼今回は公共事業、金融緩和、円高是正が３本の矢。だが公共事業は従来ほど経済効果がないこと、円安にしようと円を売るほど投資家の餌食になること、日本はいまや資本輸出国になり、それが投機的金融として世界をめぐっているという実態を無視している
▼お家安泰は一国主義だが、グローバル経済のなかでそれは成り立たない。カネでカネを買いカネを儲けるという構造が金融の規制緩和のなかで主流の金儲け方になっているからだ
▼雇用での規制緩和をやめ労使関係を本来のものにし、所得再分配機能をきちんと機能させること。働く人たちの賃金を上げること。これが景気対策のまず一歩となるのだ。