被差別部落の暮らしから
中山 英一 著 朝日新聞出版(定価800円)
「人間にとって一番大切なものは……それは自分白身である」とはじまる本書。戦後25年間にわたり長野県連書記長としてさまざまな差別事件にとりくんだ著者と差別の淵源を明らかにし、それに立ち向かっていく術を探っていく。むらと「仏教」、「神社」ではむらの人びとの信仰の姿を捉えるいっぽうで仏教がおこなってきた差別や差別戒名にもふれ、さまざまな視点から偏見や差別を捉え、差別に立ち向かった先人たちのしなやかで、力強い「団結」がむらの文化になったことがつづられている。
「えた・ひにん」の名詞をもちいて中学校教育の場で部落問題が記述されはじめたのは1972年。それから40年以上が経過しても地域や学校、就職や結婚などさまざまな場で命の存在が脅かされるほどの深刻な差別事件があとをたたない現代。その社会に生きる私たちは、いまこそ先人たちの生活や文化、闘いの「生の声」をあらゆる方向から多面的に捉えなおさなければならない。そして過去を「いま」と重ねあわせ、現実を直視し、差別と闘う被差別のなかま、マイノリティのなかまと、団結の文化の創造へとさらにもう一歩、ともに前進していきたい。(伊)
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