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コラム
今週の1冊 第2662号/14.04.14

日本軍と日本兵

一ノ瀬俊也 著  講談社現代新書(定価800円)

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 道徳の教科化。「特定秘密保護法」。日本版NSC。防衛装備移転三原則。集団的自衛権。「国民投票法」―I憲法96条-憲法改悪。人間の尊厳をふみにじる悪政が招いた貧困・格差や外交の失敗の連続―日本のいき詰まりを、「戦後レジームからの脱却」―軍事力・軍需産業を軸に打開しようとする安倍政権の暴走は、ついにここまできた。平和憲法は過去最大の試練に突入している。
  本書は、第2次大戦中の米陸軍内の広報誌から、当時の日本陸軍兵士の姿にせまったもの。戦場での兵士の体験もまた、日本国憲法を支える力になったのでは、と読んでみた。
  米軍の観察は具体的だ。▽兵は天皇や靖国のためでなく味方の虐待や体罰が怖くて戦う▽留守家族は政府でなく近隣社会が世話。兵が捕虜になれば世話をやめるため、投降忌避▽防御陣地に退却通路はなく決死強制▽死んでも敵に弾薬を浪費させるため、狙撃兵は樹上に縛る▽対抗兵器がない戦車に人間地雷、など。鴻毛のような人命が未来の日本の雛形に見え恐ろしい。いまこそ「諸国民との協和による成果」と「わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢」を確保し「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやう」(憲法前文)に闘おう。(K.S)

 


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