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コラム
荊冠旗 第2657号/14.03.03
 「途方もなく空広かりきリュック背負(しよ)ひホームレスの道踏み出ししとき」。朝日歌壇に掲載された歌だ。選者の一人、佐佐木幸綱は、「思い出の中の空の広さは、寄る辺のない孤独と自由の象徴だろうか」と選評を書く。/住所欄にはホームレスとある
▼この歌人、宇堂健吉は、朝日歌壇の4人の選者のうち3人から選ばれている
▼これをみて思い出すのが、08年末、リーマンショックがあり、派遣テント村がつくられたときに、彗星のように登場した公田耕一だ。「(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ」をはじめ、複数の選者に選ばれた☆マークを3首で6個も獲得した。柔らかい時計とはダリの絵のこと
▼なによりも彼がホームレスということが話題になり、公田探しがはじまった。朝日新聞記者だったが南米からの帰国後、日本での生活に追い詰められていた三山喬も捜しはじめた。それをまとめたのが『ホームレス歌人のいた冬』(文春文庫)。公田を捜すなかで三山じしんが誕生する
▼冷凍食品に農薬が混入される事件があった。被害は拡大し、会社は莫大な損失を被った
▼捕まったのは非正規労働者。事件は陰湿だが、背景には36%を占める非正規の怒りがあるのでは。高齢の非正規労働者にはホームレス化の危機も迫る。第2、第3の混入事件を出さない途は、労働者の使い捨てをやめ、正規労働者を増やし、格差をなくすことではないか。

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