「孫からすごく怒られている」とは、日本は神の国であるなどとのたまわり、批判された森喜朗・元首相。森元首相は「あの子（浅田真央）はいつもそうなんだ、大事なときには必ず転ぶ」と発言した
▼だが、翌日の浅田は「自分の最高のでき」で「最高の気持ちになった」。「前日の失敗とたえ難い中傷に打ち勝ち、ついに自分に勝った浅田真央の涙が熱く感じられる」「諦めなければ最後にはやり遂げることができることを教えてくれた真央」などと絶賛された
▼試合後、森発言について聞かれた彼女は、「私は別に何とも思っていないですけど、森さんがいま、少し後悔しているのではないかなと思います」と語り、記者会見場の爆笑をさそった
▼さすがとばかり、マオ主義者は留飲がさがったことだろう。この場合のマオイストとは、毛沢東主義者のことではなく、真央に陶酔するファンのこと
▼森元首相の発言には、国家主義やナショナリズムが透けて見える。メダルを取らなければいけないのになんてこった、というわけだ
▼スポーツは常にナショナルなものをしょい続けてきた。サッカーの試合から本物の戦争になったこともある
▼ウクライナの支配下にクリミア自治共和国がある。92年に独立したが支配下にあるという複雑な関係だ
▼ここをめぐり、旧冷戦体制が動き出している。ナショナルな利害のためなら平然と主権をふみにじるという歴史がくり返されようとしている。