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コラム
荊冠旗 第2678号/14.08.11
 「脱法ハーブ」ならざる「危険ドラッグ」が猛威を振るっている。都内の工場が摘発された。茶葉などの植物片に霧吹きで白い粉末を水に溶かしてできた液体を吹き付ける。それを扇風機で乾燥させ、小袋に詰める
▼この工場、国内シェアの7割を製造し、月1億円を稼いでいた。とにかく儲かるから粗製濫造。救急搬送された乱用者の一割に「横紋筋融解症」がみられ、急性腎不全、不整脈をおこし最悪の場合、死にいたる。だが根治療法はなく対処療法しかない。民間リハビリ施設に頼っているのが現実
▼安価で暴力団にかかわることなく、店舗やネットで気軽に入手できる。覚醒剤などの麻薬にくらべて使用者にとって垣根が低いのが特徴。摘発件数は倍増している。世界各国でグローバルな監視と情報の共有が必要だ
▼摘発されたのは20~30代が68%を占める。非正規雇用が拡大し、とかくおもしろくないこの世界、社会、家族・人間関係などの「心の隙間」にドラッグという魔物が住みつくのか
▼今年は英語圏でロシア革命の指導者だったトロツキー関係の書籍が多く出版される。日本での分厚い3冊本が1冊のペーパーバックス版で出る
▼そのトロツキーの遺言に「人生は美しい。未来の世代をして、人生からすべての悪と抑圧と暴力を一掃させ、心ゆくまで人生を享受せしめよ」という言葉がある。心ゆくまで人生を享受できる社会では、きっと危険なドラッグは必要ないだろう。

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