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部落解放同盟の第55回全国大会は、5月10~12日の3日間、九州・福岡の地で開催する。今年は「世界人権宣言」50周年の記念すべき年であり、また開会日の5月10日は、故上杉佐一郎前中央執行委員長の3回悲にあたる。2
運動方針は、運動の継続性ということから、大幅な変更はないものの、「部落解放基本法」制定の闘いでは、「人権フォーラム21」を結成し、五回にわたる合同部会をひらいた成果をあげていることや、人権擁護推進審議会の意見表明、とくに中間報告を今年の夏までに求めていく運動の強化などを、新たに打ちだしている。
また、2月5日現在、地方自治体での部落差別撤廃・人権擁護を求める「条例」が544、同「宣言」が922に達しており、これをさらに、各地の人権団体、共闘団体とともに、全国におし広げることを明らかにしている。
狭山第2次再審闘争では、最大の山場を迎えたいま、500をこえる公正裁判を求める首長署名をさらに増やし、国会内外での闘いを強力に展開し、「マーシャル事件と証拠開示」の集会成功をバネに、東京高裁、東京高検を国民的世論で包囲する闘いの強化を訴えている。
さらに、「人権教育10年」のとりくみについても、14府県に推進本部が設置され、すでにいくつかの自治体では、政府の行動計画を上まわる行動計画を策定し公表しており、この運動の強化も訴えている。
また、具体的課題として、「公営住宅法改定」問題での「留意事項」や「住民基本台帳法改定」問題にも触れ、隣保館の建て替えや運営事業についても厚生省次官通達などを活用することも明確にしている。
反差別共同闘争では、悪質化する高度情報機器を使っての差別事件や、部落差別身元調査事件などを、共闘の力で糾弾闘争を展開していくこと。少数点在部落での周辺共闘・反差別共闘の大切さなども書きこんでいる。
「世界人権宣言」50周年にあたって、その意義ととりくみを示し、最後に21世紀を迎えるにあたっての、私たち部落解放同盟の使命も明記している。
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21世紀には、政府の力が相対的に弱まり、国連やNGO、地方自治体やNPOなどの力が発揮されなければならない時代といえる。
そのなかで、1922年の全国水平社以来、部落解放=人間解放に向けて闘いつづけてきた、私したち部落解放同盟は、偉大な解放の父・故松本治一郎委員長の「不可侵不可被侵」の松本精神を正しく継承発展させなければならない。故松本治一郎元委員長や、故上杉佐一郎前委員長の生誕の地、福岡での第55回全国大会を成功させるためにも、運動方針案をしっかり読みこなし、大会で活発な論議をおこなおう。