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昨年6月、民間職業紹介の自由化をおもな内容とした、「職業安定法」の改定がおこなわれた。そのさい、法改定の内容として統一応募用紙の法的裏付けともなる項目と、大臣指針が盛りこまれた。このことは、統一応募用紙の趣旨を徹底させていくうえで、大きな前進といえる。2
これまで「統一応募用紙」の趣旨徹底を求める労働省・文部省の「通達」の根拠となる法律はなかった。そのため、民間企業などが居直った場合に強力な指導ができなかったが、これからは「職業安定法」とそれにもとづく「大臣指針」を根拠とした指導となる。3
この数年間すすめられている労働法制の規制緩和には、労働者の権利を後退させる側面や不安定雇用を拡大し差別構造を強化する側面が強く、労働界からも強い反発がある。部落解放同盟としても1998年9月、「労働法制の規制緩和による新たな差別の拡大に反対し、雇用差別の法的・社会的規制の強化」を求め、労働省に申し入れをおこない、そのなかで、「採用選考にかかわるプライバシー保護の法的基準の明確化」を求めていた。また、交渉のたびに「統一応募用紙」違反企業への強力な指導を求めてきた。そして、今回の法改正にあたっても、そうした観点を盛りこむよう重ねて要求してきた。そのとりくみの成果として、このような内容が盛り込まれたといえる。《資 料》職業安定法(抜粋)1999年6月改定
(求職者等の個人情報の取り扱い)
第五条の四 ①公共職業安定所等は、それぞれ、その業務に関し、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するにあたっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合には、この限りではない。
②公共職業安定所等は、求職者等の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。
(注)「公共職業安定所等」には、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者および募集受託者並びに労働者供給事業者も含まれる。労働者の募集を行う者は募集形態の如何(直接募集、間接募集、委託募集)を問わず第五条の四が適用される。
(指針)
第四八条 労働大臣は、第三条、第五条の三、第五条の四、第三十三条の五及び第四十二条に定める事項に関し、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者及び労働者供給事業者が適切に対処するために必要な指針を公表するものとする。
(指導及び助言)
第四八条の二 労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者及び労働者供給事業者に対し、この業務の適正な運営を確保するために、必要な指導及び助言をすることができる。
(改善命令)
第四八条の三 労働大臣は、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者又は労働者供給事業者が、その業務に関しこの法律の規定又はこれに基づく命令の規定に違反した場合において、当該業務の適正な運営を確保するために必要があるとめとめるときは、これらの者に対し、当該業務の運営を改善するために必要な措置を講ずることを命ずることができる。
(労働大臣に対する申告)
第四八条の四 ①職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者又は労働者供給事業者がこの法律の規定又はこの法律に基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、当該職業紹介事業者に休職の申し込みをした求職者、当該募集に応じた労働者又は当該労働者供給事業者から供給される労働者は、労働大臣に対し、その事実を申告し、適当な措置を執るべきことを求めることができる。
② 事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置を執らなければならない。
第五章 罰則
第六五条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを6ヶ月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
八 第四十八条の三の規定による命令に違反した者
《資 料》労働大臣指針(労働省告示第141号)・抜粋 1999年年12月施行
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