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大阪人橋博物館が近く常設展とは別に、古地図(絵図)の展示を中心とした特別展の開催を予定している。江戸期の地図を中心としたものなのだが、そこは人権博物館、エタ村をはじめ非人村・物吉村などの記載のあるもののみに特化して展示をおこなうというのだ。「とんでもない。そんなことをすれば差別をみずから助長することになってしまうではないか」。そんな声が内外から聞こえてくるであろうことを、われわれは知っている。しかし、しかしということだ。2
「われわれ」というのはこの場合、わが同盟の中央執行委員会のことをいう。結論を先にいうとすれば、わが同盟は大阪人権博物館のこの企画を断固として支持し、この展示を差別に利用しようとするものが仮に出てきたとしても、それを恐れない。より具体にいうと、差別される可能性という幻影の前に縮こまっているよりは、みずから打って出て反差別の可能性を広げ深めていこうというのだ。3
今回の展示が初の試みとして成功を収めていくためには、周到すぎるほど周到な準備がおこなわれてしかるべきなのはいうまでもないが、さすが人権博物館のこと、キャブションなど、何から何まで配慮がいき届いているといってよい。たとえば、今回展示される絵地図は大阪、京都、兵庫のものなのだが、すでにそれらの地域と博物館との協議はすんでいるし、実物につけられるキャプションも反差別の意図が十分来館者に伝わっていくよう配慮がおこなわれている。かつてこの種の問題をめぐって、わが同盟と主催者側との間に何がしかのトラブルが生じたということはあった。しかしながらそれらのケースのほとんどは、いまみたような配慮を欠いたものばかりであったとしておいてよいのだ。逆にいえば、それらの配慮がきちんとなされているかぎり、もめごとなど生じようはずもなく、大いに展示していただいて結構ということだ。4
それにしても百聞は一見にしかず、とはよくいったものだ。たとえば今回展示されるはずの文禄四年播磨揖保川水利絵図を見るだけで、そこにある福地というカワタ村にも用水路が引かれ、水利権がそのカワタ村にもあったことが明確になる。また、渡辺村では本村以外、村の里道が周辺のどの村ともつながっていないという差別のありようが見えてくるというのだ。あるいは天保三年和泉南王子村絵図からは、この村全体が柵か木で囲われるといった被差別の状況が見えてくるという。「解放新聞」購読の申し込み先
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