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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

「人権の21世紀」の実現へ
実効ある法制度の確立を
(2001.09.17-第2036号)

 五月二十五日「人権擁護制度の在り方についての答申」が人権擁護推進審議会から発表され、わが同盟としても見解を発表したところである。現在、人権擁護推進審議会は、人権擁護委員制度の在り方について討議がされ、論点項目が確定した段階で公表し、広く意見を求め、年内にも「答申」が提出される予定である。
 なお、与党「人権問題等に関する懇話会」でも六月二十七日、政府にたいし、「答申」をふまえ、国家行政組織法第三条にもとづく人権委員会(仮称)の創設を含む組織体制の整備などを内容とする新たな人権救済制度を確立するための法案を、次期国会で内閣から提案されたいと申し入れているところである。
 真に実効ある人権救済機関の設置を求め、つぎにわが同盟の考え方を示す。

 ①「部落地名総鑑」の作成・販売や、部落差別にもとづく就職差別、さらには「部落民を皆殺しにせよ」などとした差別宣伝や差別煽動などの悪質な差別行為を法律で禁止するとともに、これらの行為による人権侵害の被害者を効果的に救済するための実効ある機関として「人権委員会」(仮称)を位置づける
 ②組織体制については、「答申」では「政府から独立性を有し、中立公正さが制度的に担保された」委員会組織〈「人権委員会(仮称)〉が提言されている。そこで「人権委員会」仮称)を国家行政組織法第三条にもとづく委員会として、部落差別をはじめとしたさまざまな差別や深刻な人権侵害を効果的に解決できるものとしなければならない。そしてこの委員会を内閣府に位置付ける必要がある。また、「被害者の視点から簡易・迅速で利用しやすく、柔軟な救済を可能とする」必要があることから、中央レベルだけでなく、少なくとも都道府県・政令都市レベルでも「人権委員会」を設置しなければならない。
 ③「人権委員会」(仮称)の委員の選任については、人権への理解度、ジェンダーバランスの配慮はもとより、被差別の当事者を積極的に選任すべきである。また、職員についても、法務省人権擁護局や地方法務局人権部職員などの「横すべり」ではなく、専門性を有した職員採用はもとより、被差別の当事者を積極的に採用すべきである。
 ④現行の人権擁護委員は多分に「名誉職化」「形骸化」しており、なかには、人権擁護委員が部落差別事件を起こしている事例すら存在する。そのあり方については、抜本的に見直されなければならない。
 ⑤人権委員会(仮称)の救済以外のほかの機能として、人権啓発機能と助言機能がある。人権啓発機能については.《ア》人権侵害の被害者の救済に関係した人びとにたいする教育・啓発機能、《イ》人権侵害の被害者の救済にかかわる人権委員や職員などにたいする教育・啓発機能などに限定することである。助言機能に関しては、差別や人権侵害の直接的な救済をとおして、それらの問題の原因・背景を解明するとともに、現行の法制度や国・地方自治体の施策の問題点を明らかにしたものでなければならない。
 ⑥さらにもう一つの機能として国際的な連携を図っていくことである。具体的には、締結した諸条約の実施、とりわけ政府報告の作成にあたって、積極的に助言・提言することである。さらに、国連やすでに設置されているほかの国の国内人権機関などとも積櫨的な連携をはかっていかねばならない。

 九月中には人権擁護委員制度」の在り方についての論点項目が公表されるはずである。そのさい、わが同盟の考え方を示し、「人権の二一世紀」の実現に向け、真に実効ある法制度の確立をめざすものである。

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