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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張
全国水平社創立80周年を
機に運動の大きを前進を

 本年は、全国水平社創立八〇周年である。一九二二年三月三日、京都岡崎公会堂でひらかれた全国水平社創立大会は、それまでの同情融和的なとりくみから決別し、自主解放をめざした部落解放運動の歴史的な出発であった。「水平社宣言」は、「吾々がエタである事を誇り得る時が来たのだ」と、自分たちの置かれてきた社会的立場や職業を卑下することなく、みずからを「自由、平等の渇仰者であり、実行者であった」として、恩恵的かつ治安対策的な部落改善政策を拒否し、自主自立の部落解放運動を宣言したのであった。
 その後、全国各地で水平社が結成され、差別糾弾闘争を中心に運動が発展をしたが、またそれは権力の厳しい弾圧を受けることにもなったのである。いっぼう、水平社は、労働運動や農民運動とも連帯を深めるとともに、朝鮮の被差別民衆である「白丁」の解放組織である衡平社との交流をすすめた。また、ヒットラーのユダヤ人迫害と人種差別に反対し、ドイツ大使館に「ドイツ・ファシスト政府に対する抗議」をおこなうなど、国際通帯の活動もすすめてきた。
 こうした水平社の闘いは、まさに今日の部落解放運動の原点であった。

 今日の部落解放運動は、全国水平社の闘いの歴史と伝統を正しく継承し、国内外での差別撤廃、人権政策確立に向けた重要な役割をはたしつつある。「部落解放基本法」制定の闘いは、広範な国民運動として大きく広がり、「人権教育・啓発推進法」の制定や、人権救済制度にかかわっては、「人権委員会」が設置されようとしている。
 また、解放奨学金制度は、今日、より拡充した制度として再編成されるなど、「教科書無償化」の闘いのように、部落解放のための施策が、奨学金を必要とするすべての高校生を対象にするものになった。さらに、不当な異議申立棄却決定を断固糾弾し、最高裁への特別抗告を闘っている狭山再審闘争も、広範な反差別共同闘争として、部落解放中央共闘会議を中心にした労働組合、市民・学生・宗教者や学者・文化人などとの広範な連帯のもと、再審実現に向けてとりくみがすすめられている。
 差別糾弾闘争でも、単に個人にたいする糾弾から社会制度の変革を求める闘いとして、「同宗連」や「同企連・人企連」などとも連携を深めながらすすめられている。また、反差別国際連帯のとりくみでは、国際人確規約や人種差別撤廃条約批准・加入などの成果をあげるとともに、「反差別国際運動」を中心にした国際連帯活動がすすめられている。

 このように今日の部落解放運動は、厳しい情況を克服し、差別撤廃に向けた大きな闘いとしてとりくまれている。
 今年三月一日には、京都会館(旧岡崎公会堂)で全国水平社創立八〇周年記念集会をひらき、あらためて多くの諸先輩たちの血の滲むような苦闘に想いを馳せ、部蒋解放ー人間解放に向けた闘いへの決意を新たにすることにしている。長期化する不況や「テロ事件」を口実にした有事法制化の動きなど、部落解放運動をとりまく情勢は厳しい。しかし、部落解放運動は、日本の平和と民主主義、人権の確立を求める闘いとしっかりと結合しながらすすめられている。
 われわれの部落完全解放に向けた闘いが国内外の人権政策確立に大きく寄与する闘いであることを自覚し、全国水平社創立八○周年を単に十年毎の行事にすることなく、記念集会を契機に、部落解放運動をさらに大きく前進させよう。

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