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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張
部落解放文学賞を発展させ
文化活動をより強化しよう

 サッカーの人気が高い。W杯の日韓共同開催で、マスメディアは、両国にはサッカーしかないかのように連日放映し、書き立てている。
 たしかにサッカーは、おもしろい。全選手が時間いっぱい走りまわり、全力を使い果たす。一点という得点の重みが、他の競技とは異なる。サッカーが世界中で、しかも貧困といわれる国で人気が高いこともわかる。ボール一個だけで、何人もが遊べるからだ。ボールがなければ、空き缶をボールに見立てて遊ぶことも可能だ。だから、貧困のなかからのサクセスストーリーが、つぎつぎでてくる。
 サッカーというスポーツもまた、文化なのだ。イングランドで発達し、英国に広まり、英国の帝国主義的世界支配とともに、世界中に広まった。現在では、本場のイングランドを、ヨーロッパに支配された南米諸国がしのぐほどになっている。しかし、金で選手を集めるチームが勝つという、資本主義の構造になっているのが現状だ。

 ながながとサッカーについて書いたのは、文化とその変容の問題をいいたかったからだ。
 文化とは、その土地に住む人びとが、そのなかでの生き方として、産み、育てるものだ。部落では、被差別という現状のなかから、差別に抗する生き方が、文化となった。たとえば、非定住民としての芸能の創造と伝播、警護の技術、肉や皮をあつかう技術、さまざまな生業での技術などなどだ。
 労働や生活のなかで生まれた民謡が鑑賞の対象だけになり、商業主義に取りこまれている現状がある。それは、私たちの祖先がはぐくんできたさまざまな芸能でも同様だ。問題なのは、商業主義に取りこまれるなかで、当初もっていたものが変容されることだ。
 商業主義に取りこまれ、変容させられるのではなく、みずからが育て、よりはぐくんでいく、という関係が大切だ。

 部落解放文学賞には、毎年多くの作品が寄せられ、今回も十五編が入選、佳作となった。この文学賞をさらに発展させていこう。今年も、十月三十一日が締め切りとなる。詩、識字、小説、児童文学、戯曲、記録文学、評論を積極的に書き、応募しよう。
 また、文学賞でも、語り、ビデオなどへ枠を広げることも考えていきたい。さらに、絵画、音楽などをつうじて、部落の文化を積極的に創造していこう。
 たとえば、本紙前号で報道したように、大阪では「子ども太鼓塾」をワークショップとしてひらき、大きな成果をおさめている。これは、沖縄の太鼓集団を講師に、沖縄で発展してきた太鼓をたたくことの伝統文化を学ぶものだ。「太鼓をつくる文化、たたく文化をともに継承し、自己表現をもっと豊かにしてほしい一という主催者の言葉が、何よりも雄弁に、このとりくみの趣旨を語っている。
 それぞれの地域ではぐくまれてきた文化を掘り起こし、伝統を受け継ぐとともに、新たな文化活動を部落のなかで大きく創造していこう。さまざまな文化との出合い、人との出会いを作り、大切にし、部落を反差別-人間を解放するための文化の一大発信地にしていこう。

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