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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張
反戦平和への思いと
決意を新たに闘いを

 今通常国会での「有事法制関連三法案」は、廃案まで追い込むことはできなかったが、継続審議となり次期国会以降にもち越された。これは、三法案があまりにお粗末な内容であったこと、さらに、その危険な内容が明らかにされ批判の声が大きかったことによる。その意味で、この間の私たちの運動の成果としても確認しておきたい。
 そのようななかで、今年も八月を迎え、原水禁大会や8・15戦争犠牲者追悼集会など、平和への誓いを新たにする行動があり、各地でも独自のとりくみがなされている。また、マスコミでの特集など平和に関する報道も多くなる。私たちはこのような機会に、反戦平和への思いと決意を新たにし、それを具体的な行動に移し、各地でとりくむことを訴えたい。

 この十年ほどで、「PKO協力法」「新ガイドライン」「周辺事態法」「テロ対策特措法」そして「有事法制」へと、真綿で首をしめるように戦争準備が少しずつすすめられてきた。そして政府の考え方も、かつての「専守防衛」から大きく変化し、後方支援と称し海外派兵を強行し、さらに「有事三法案」では「攻撃や侵略の恐れ」があれば「先制攻撃」で相手国の基地を攻撃することが可能と解釈できるところまできている。また、国民や自治体の戦争協力を強要することを明確に打ち出してきた。このように、「有事三法案」が成立すれば、戦争への準備が整うことになる。そして、憲法の平和主義は死を宣告されたに等しい状態になる。
 各地でのとりくみにさいしては、この「有事三法案」の危険性を広く明らかにし、廃案に向けた行動に結びつけることをよびかけたい。

 ここ数年、世界の経済が低迷し、好調だった米国でもバブルが崩壊したといわれ、経済が急速に悪化しており、その影響もあり世界的にひじょうに不安定要因が多い。このような時期には戦争が起こる危険性も高まり、警戒を強める必要がある。
 一昨年誕生した米国ブッシュ政権は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准拒否、弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM)からの脱退、ミサイル防衛構想(MD)の推進など、この間の国際的な核軍縮と平和創造への努力に水を差す政策を次つぎと打ち出した。そして、昨年九月の同時多発テロ以来、アフガニスタンでの報復戦争を強行、イラク、イラン、朝鮮民主主義人民共和国を「悪の枢軸」と決めつけ、好戦的姿勢を強めイラクへの攻撃さえほのめかしている。
 そして小泉内閣は、そのような米国ブッシュ政権に迎合している。そのいっぼうで福田官房長官や安倍官房副長官が「非核三原則見直し発言」をおこない、石原東京都知事は「拉致事件」問題にふれて朝鮮民主主義人民共和国との戦争も辞さないと暴言をはいた。いまは国民も冷静だが「テポドンロケット事件」のように何かをきっかけに、好戦的世論が形成される危険性もある。

 「有事三法案」は、「武力によって国民を守る」というウソを再びもち出してすすめられている。いっぼう、国連を中心に「国家の安全保障」から「人間の安全保障」へという考え方の転換が広まりつつある。このことを踏まえつつ、ヒロシマ、ナガサキの原点と沖縄戦の教訓、侵略戦争の反省を心に刻みながら、平和運動を盛り上げる必要がある。
 また、今年は全国水平社八〇周年であるが、日本が一九三七年に日中戦争をはじめアジア太平洋戦争に突入するなかで、水平社の運動も弾圧され侵略戦争への協力を余儀なくされた痛恨の歴史も教訓化しなければならない。
 いま、戦争の悲惨さをもう一度語り、侵略戦争への反省と平和への思いを行動につなげよう。原水禁大会の参加をはじめ、「狭山・反核・平和週間」、8・15など、地域に根ざした平和運動を強化し、秋の闘いに結びつけよう。

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